「画仙」とは技量の優れた絵描きのことで、その画仙が好んで用いた大判の紙を画仙紙と呼ぶようになりました。
中国では書画用紙の代名詞は「宣紙」です。宣紙の故郷は安徽省の宣城でありそこから生まれた名前ですが、宣城は紙の産地というより近隣からの紙の集積地だったようです。安徽省涇県で作られた紅星宣紙工場の画仙紙を「本画宣」と呼びほかの中国画仙紙とは一線を画すように取り扱われています。中国画仙紙の他の産地は、江西、福建、浙江などがありますが、福建省の一番唐紙、玉版紙、粉連紙など日本でもなじみの深い紙があります。
日本産の画仙紙を中国産と分けて「和画仙」と呼ぶことがあります。日本の画仙紙は、戦後中国との国交が無かったため、独自の製法で作られました。山梨県市川大門町の工場が生まれ鳥取県、愛媛県などに広がりました。
数多くの書道展が開催されるようになり、大字仮名、一字書、前衛書、詩文書など幅広い書家の要望に応えるよう紙の種類が増えました。
画仙紙の特性
書が芸術として認識されるようになりにじみの美しさが注目されるようになりました。
紙は初期のころ、手紙文や文書の書き溜めとして用いられていたため、文字が判読されやすいようにじみは必要ありませんでした。紙をすいたままで使わず、表面を槌で打ったり(打ち紙)、動物の牙や玉でこすって(瑩紙)表面をならして漉き紙の特徴である多孔質多層構造をつぶした紙を使っていました。
画仙紙も長い年月の間に、書家の要望、時代の好み、原料の調達の可否などによって変わってきました。
書作品の制作にあたっては、「どう書きたいか」を考えることが第一歩ですが、作品に応じた紙の選び方、筆や墨との相性を考えることも書道作品制作の醍醐味といえるでしょう。